改革1-2 現状維持バイアス

 

 変化は良い状態と悪い状態の両方をもたらします。

プロスペクト理論の価値関数グラフで分かるように同額の利益と損失では、損失による不満感は利益による満足感よりもずっと強い為、損失回避性が働きその結果、今の状態に取り立てて不満が無い限り、人は現状維持を選びます。

 

行動経済学をCMに起用した企業がありました。

大和証券グループです。ずいぶん前の事になりますが、覚えていらっしゃる方もいると思います。

現状維持の法則編では、人は選択肢が広がるとかえって「いつもの商品」を選んでしまいがちという内容でした。

 

これは、新しいものに変えるという行動を起こした場合、その行動がもたらす結果が、良かった場合と悪かった場合で悪かった場合のほうが強く感じるため、現状を維持する方向へ行動するという内容です。

 

また、「ギロビッチ博士 行動非行動編」では、勇気が無くて好きな少女に声を掛けられないうちに、少女に遠方へ引っ越されてしまった少年が出てきます。

「人間は、行動した後悔より、行動しなかった後悔の方が深く残る」

というテロップが出てくるのですが、このCMでは、

「行動しないことにリスクがあり、行動したほうが後悔しない」

という点を訴えかけています。

 

 本来企業活動に関しては、うまくっているからこそ、その廻っている状態をできるだけ長く継続させる方向へ持っていかなければなりません。

ところが、この現状維持バイアスが働くことで、とりあえず今のところうまくいっているからいいだろうと考え、本来取らなければならない行動を取らなくなってしまいます。

 

現状うまく回っているのが、何が原因でそうなっているのか?

外部環境なのか、内部環境なのか、色々な要因を考え、では次にすることは何が重要なのかを常に考えて行かなければならないということです。

 

上手く回らないときに何故か考えるのは当たり前ですが、うまく回っているときに何故かと考える人はほとんどいないと思います。

例えば、ビジネス自体は成功し売上的にも満足できる結果が出ているが、離職率が高いとかマネージャーが育ちにくいとか、色々な問題は出てきます。

 

離職率の問題やマネージメントできる人材が不足する場合、どんなにビジネス自体が成功しても企業規模を拡大することはできません。 

ある一定のところで、企業の売り上げが頭打ちすることは良くあります。

 

そこを打破し壁を乗り越えて、さらに上の段階に引き上げて行くためには、現状維持バイアスを上手く回避し、改革を続けて行くしかないのです。

そのためにどうすれば良いのかを的確に判断し、具体的に行動し、改革を続けて行くことのできる経営者が真の経営者と言えるでしょう。

 

また、真の経営者とは自分のできる範囲をよく心得ています。

できないことは外部に任す、という判断がきちんとできることが、論理的な経営を進めて行く上で重要な点になるでしょう。