花と火の帝

 私の好きな作家に、隆慶一郎と言う人がいます。

 

学徒出陣で転戦した後、東大に復学して卒業後、立教大や中央大学で仏文を教えていらっしゃいましたが、その後脚本家として仕事をされた方です。

 

恩師である小林秀雄先生が亡くなった後小説家デビューして、病気で亡くなるまである意味時代小説の一大センセーションを巻き起こした作家なので、ご存知の方も多いと思います。

 

一夢庵風流記は、花の慶次として漫画にもなりましたし、今やパチンコにもありますね。

 

この『花と火の帝』という作品は、後水尾天皇の時代に天皇の籠を担ぐ八瀬童子と呼ばれた天皇の隠密とも呼ばれる人たちが、天皇家を徳川家から守るために活躍するという話ですが、その話の中にこういう一文があります。

 

細川幽斎という武将と、八瀬童子の首領である岩兵衛との会話です。

 

「そんな阿呆な。帝にそんな力はありまへん」

「それがそうではない。確かに武力はない。武力はないが不思議な力がある。庶人の胸の底に眠っている帝への畏れがある。呪力と云ってもいい。この国のすべて、大海原から渺々の奥山に至るまで、山川草木ことごとく、おおもとは帝のものだと云う気持ちが厳としてある。天下人が等しく恐れるのは人々の胸の底に眠っているその思いだ。だからこそ天下を狙う者はすべて禁裏を、帝を気にかけ、なんらかの形で一種の取引をしようとして来たのだよ。」

 

日本には八百万(やおよろず)の神々がいるわけです。

道端に落ちている石、生えている草一本にも日本人は神を見出してきました。

 

現人神(あらひとがみ)が天皇陛下であるわけですが、どんなお仕事をされているかご存知の方は少ないと思います。

所謂国事行為と呼ばれるお仕事をされているわけですが、内容は宮内庁のHPに詳しく出ていますので興味のある方は覗いてみてください。

 

今回、山本太郎議員が陛下に手紙を手渡ししたことが大問題になっています。

私も今回の件に関しては、山本議員にあまりにも知識が無さ過ぎたことが問題だと思っています。

陛下に原発問題を上申してどうなると言うのでしょう?

御祈りでもしてもらうのでしょうか?

 

陛下が常に国民の事を考え、国民の幸福を願われていることが分からないとしたら、日本人としては寂しい限りです。

私は別に右寄り左寄りと言うわけでもありませんし、ある意味無神教的な考えですが、日本人があらゆる物に神を見出し、畏れ敬い祈りを捧げてきた歴史には、日本人としてある種の誇りを持っています。

 

何故日本には八百万の神々が居るのか、またその存在が許されてきたのか、もう一度日本人として考えるのも良いのではないでしょうか?