理想の組織の一形態

今日は、

ネッツトヨタ南国に「働きやすさ」を学ぶ

という記事から考えたいと思います。

記事は前編後編に分かれてます。

私は元々大学が防衛大学校だったこともあり、組織とはどういう形態が最適な組織となるのかをずっと考えてきました。

軍隊は世界中どこでもそうですが、国家規模の予算で組織を強化しています。

自衛隊法第3条1項は自衛隊の目的を

自衛隊は、我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対し我が国を防衛することを主たる任務とし、

必要に応じ、公共の秩序の維持に当たるものとする。

我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つことが目的ですが、そのために最強の組織を作る必要があります。

最近防衛大の不祥事がいくつかニュースで流れました。

私が在籍していたころからすると随分モラルが落ちた気がしますが、昔は上級生(特に4年生)は全員が人徳者に見えたものです。

軍隊組織の在り方に対する考え方と、企業組織の在り方に対する考え方は違うと思いますが、本質的な考え方自体は同じでしょう。

組織の目的があり、その目的を達成するために命令系統を統一し、最大の成果を出すことが求められます。


今回の記事は、ネッツトヨタ南国(高知市)の組織に関しての記事です。

ここは女性営業が活躍できないと言われている自動車ディーラーの世界で、スタッフ45名のうち8名が女性で、

その4名は働くお母さんだそうです。営業の女性は離職率が高いと言われる世界で、この会社の離職率が8%だそうですから、

驚異的な数字でしょう。この会社の現在の相談役の横田さんの話が印象的だったので、取り上げてみました。


横田さんが力を入れてきたのが『採用』だそうです。

優れた人材を採用するためには金銭的コストを惜しまず、年間5~10人採用するのに1300万円以上を費やしたと言っていますから

1人当たり採用コストは130万円以上ですね。それを15年以上続けているそうです。

横田さんが採用の基準として最も重視しているのが『人柄』だそうです。

この『人柄』の良い人を採用することに、徹底的にこだわっているそうです。

何故かと言うと、『人柄の良い人は、自分以外の人に喜んでもらうことを歓びとする』からだそうです。


人事採用の際、短時間で人柄を見抜く事が出来るか?ということになってきますが、横田さんは、

『普通なら一年一緒に働けばその人の事が分かるはず。ならば、半年では可能か?3カ月では可能か?

1カ月でも分かるんじゃないか?ひょっとしたら採用前でもわかるかも知れない。』

こう考えて、徹底的に人柄を見抜くスキルを磨いていこうと思ったそうです。

短時間で人の事なんか分かるわけないよ、とつい言いたくなりますが、違うんですね。


人柄が良い人を集めても厳しい競争をしていかなければならない業界で勝ち抜いていけないのでは、と言う質問に対する

横田さんの答えを抜粋してみました。

「会社とは何のために存在するのでしょうか? それは、社員を幸福にするためです。

このことはどんな経営者でも分かっているはず。ただ、分かっていてもそれができていない人が多いのです。

社員が幸せに働くためには、人柄のいい人が集まらなくてはいけないのです。

一緒に働く人を思いやる気持ちがなければ、幸せを感じることはできません。

確かに、人柄のいい人の中には『意欲の低い人』や『ハングリー精神に欠ける人』もいます。

でも、私はそれでいいと思っているのです。ハングリー精神のある人は、目標のために他の誰かを犠牲にすることもあるでしょう。

特に、営業職の人財を採用するときには、そういうガツガツした気持ちを持っている人を選びたくなってしまうかもしれません。

でも、そういう人は競争の中で必ず誰かを蹴落としたり、足を引っ張ったりしてしまう。

それではいい組織は作れないのではないかと思います」(横田さん)


「『競争よりも共創』というのが私のモットー。営業職だと、普通は『縦のグラフ』で誰が成績優秀かを競わせて、

士気を高めようとしますよね。でも、当社では社員同士を比較する『縦のグラフ』は存在せず、

個々人が自分なりの目標を目指す『横のグラフ』があるだけなんです。

縦のグラフだと、その営業パーソンの販売台数をそのままカウントすることになります。

一方、当社では、横のグラフを作って、それぞれの目標を定めています。その人の過去の実績、経験年数、

年齢を加味して横のグラフを均等割りにしています。

横のグラフでは『他人を蹴落としてでも数字を残さなくては!』という余分なプレッシャーがかかりません。

だから、競争するより共にチームを創り上げるという風土が自然にできていくのです」(横田さん)


ちなみにこのネッツヨトヨタ南国は、全国のトヨタ車販売社300社のうち、『顧客満足度』で12年連続ナンバーワンで、

2012年には日本経営品質賞を受賞している会社です。

この人柄の良い人を集めるという考え方に対して、私自身非常に思うところがあります。

先輩社員の不適切な発言や行動で、優秀な若手社員が辞めて行くのを何度か見てきたからです。

夢ややる気を失っている先輩社員たちが、せっかく夢を持って入ってきた優秀な若手をダメにしてしまうことは残念ながら良くあることです。

経営者が知れば、卒倒するようなことが現場では平気で起きています。

知らぬは○○ばかりなり、と言う話はどこにでもある話で、またそれが表面化しない(辞める時に本当の理由を言わない)ことがほとんどです。

社内ではなかなか表面化しにくい事を調べるのがモラルサーベイ(モラル調査)になりますが、これは社内の人間が行うことが難しいので

我々のようなコンサルがお手伝いすることが多くなります。

人柄の良い人が集まった組織なら、また皆がやりがいを持って前向きに仕事をしている組織なら、こういった調査は不要なはずです。


また営業の世界にノルマというのがあります。業種によると思いますが今の時代の営業活動にノルマを設定することはナンセンスだと思います。

『顧客満足度』を掲げている企業が、堂々とノルマを設定してお客さまの迷惑も考えず成果の為だけにごり押し営業をする。

企業のビジョン・理念と実際にやっていることに矛盾があると、働いている社員はストレスにさらされることになり、結局人は居付きません。

大体こう言う企業は、営業マネージャーがとにかくどなり散らし、定量評価しかしません。

成果と行動の因果関係を考えずに、ただ単に数字しか見ないのは営業マネージャーとしては手を抜いているか能力不足としか言えません。

お金を稼ぐためだけに存在している企業で働きたいと考える人がどれだけいるのか?

それが離職率に現れてくるのではないかと思いますが、どうなのでしょう。


ネットトヨタ南国の横田さんの話でもう一つ気になったところがありました。

「私は『革新』よりも『進化』という言葉を使います。組織ではよく『○○革新』などと言いますよね。

でも、革新と言いながら結局何も変わらないことがほとんどです。

なぜそうなるかというと、革新という言葉の本質を分かっていないからです。

革新とはこれまでの習慣・制度・状態・考え方などを劇的に変えてしまうということ。

つまり過去を否定するということになります。日頃から進化し続けていれば、ある日突然ジャンプアップ(革新)しなくてもよいはずです。

革新をしなければならないというのは、昨日までの自分たちが一段低いところにいた、というのを認めているのと同じことです。

その考えは前向きではありません。本当に大事なのは、昨日までの自分たちを否定せず、組織も人も柔軟に変わり続けること。

それが『進化』です」(横田さん)


改革というのは、横田さんがおっしゃるようにこれまでの習慣や考え方を変えることです。

行動経済学で言うところの、『現状維持バイアス』が働きますのでなかなか人は変わろうとしても変われるものではありません。

組織や人が柔軟に代わり続けるという考え方を根本で持っていれば、またそれが組織風土として定着していれば、

わざわざ声を大にして改革を唱えなくても、進化し続けることが出来ると言うことですね。


「褒められてうれしい、というのは、外発的な刺激から来ているものですよね。

褒められたいと思って仕事をする人は、外からの動機づけに頼っていることになります。

それでは内発的なエネルギーが生まれません。自分の内側から湧き上がるモチベーションが必要なのです。

褒めるのは二流。褒めない、しからないというのが一流のマネジメントだと思います」(横田さん)。


この部分は少し私の考えは違っています。横田さんの言いたいことはちょっと伝わっていないと思いますので補足しておきます。

褒めない、叱らないというのが一流のマネジメントという言い方をされていますが、

これは部下の行動に対して無関心になる、ということではありません。

組織で一番起こってはいけない事は無関心です。

経営者にしてもスタッフにしても、共に働く仲間・部下に対して無関心になってはいけません。

私は常々マネジメントとは、常に見てあげていることだと思っています。


経営者が忙しくて、役員が何をしているのか全く無関心。(任せたつもり)

マネージャーが部下が何をやっているのか無関心で、数字しか見ない。(見ているつもり)

こういった組織が結構多いのですが、自分の仕事が忙しいから部下の行動まで見ていられないようなら、

上の役職に就くことは辞めた方がいいでしょう。

企業は人が増えてくるとどうしても目が行き届かなくなっていきます。

個人情報の流出なども、隣が何をしているのか無関心、から生まれている気がします。


営業に一番大切なのは『気配り』だとよく言われます。

営業の現場でトップセールスの位置にいる人で、気配りのできない人はまずいません。

また気配りのできるマネージャーは、ただ怒鳴っているように見えたとしてもその裏で多くの気配りをしているものです。

私は今回のネッツトヨタ南国という組織の在り方を知ったことで、自分自身大きく進化できたと考えています。

昔から理想の組織の在り方を模索してきましたが、ひとつの理想の組織の形態ではないかと思います。

組織と言うのは、組織として成立するための目的があるはずです。というよりもなければなりません。

それはピーター・ドラッカーが言うように、企業の存在理由は単にお金を稼ぐことではない、ということです。

そしてその目的を達成するために組織を動かす原動力となるお金が必要なのであって、企業は利益を出していかなければなりません。

ただし、ここでどちらが先なのかが重要なのであって、利益を出すことが先になってしまうと組織としては弱くなってしまいます。

組織が存在するための目的(ビジョン)

その目的を達成するために必要な組織の理念(経営理念)

その目的を達成するために必要な利益を稼ぐための戦略(経営戦略)

戦略に沿った利益目標の設定(経営計画)

利益目標を達成するための営業活動の行動目標数値

この順番できちんと決めて行くことが理想の組織を作ることに繋がると思いますがいかがでしょうか?


もう一度ご自分が起業された時の事を思い出してみてください。

『社長になっていい車に乗って、億ションに住んで、いい酒飲んで~』でも構わないと思います。

でも、その会社で働いている社員たちは、社長だけにいい思いをさせるために本当に頑張ってくれるでしょうか?

『それだけ、給料を払えばいいんだろう。』という考えも、人はお金だけで動くものではないという根本に帰ってみてください。

確かにお金だけで動く人はいますが、すべての社員が満足するだけのサラリーを払えるのでしょうか?

今からでも遅くありませんから、もう一度理想の組織作りを考えてみてはいかがでしょうか。

理想の組織とは、自発的に動く組織です。経営者がいちいち指示を出さなくてもいいですから、経営者は経営に専念できます。

だからと言って無関心になってはいけませんが、経営ストレスを徹底的に少なくして、次の時代へのステップアップの為の

クリエイティブな作業に集中してみてはいかがでしょうか?