未来工業の非常識?経営について考える

今日は皆さんもご存知だと思いますが、未来工業の経営方法に関して考えてみたいと思います。

WEB上にさまざまな記事が掲載されています。

ホウレンソウの廃止や、70歳定年制、年功賃金、上司が部下に命令すると降格など、世間の常識とまったく反対の事をやっている会社です。

一応元になる記事を2つリンクしておきます。

日本一幸せな会社のつくり方 ~未来工業の非常識?経営~

「常に考える」からこそ日本一社員が幸せな会社が誕生した

日本一幸せな会社のつくり方 ~未来工業の非常識?経営~ 未来工業株式会社 取締役相談役  山田 昭男 氏

「いいものを安く」じゃ儲からない

儲からない会社の反対をやれば儲かる

えさをやらなきゃ社員が頑張ってくれるはずがない

「定年70歳」「育児休業は3年」

非正規採用を増やして失ったもの

本当に景気は悪いのか

お客さんを「感動」させれば商売になる

社員の権利をかっぱらわない

文中の小見出しを抜き出してみました。

山田語録のようになっているのではないでしょうか。

 

まずホウレンソウに関してですが、山田会長はホウレンソウをやめたらつぶれるのか?と仰っています。

私も半分賛成です。報告、連絡、相談が、ある意味現場のスピード感を抑えている場合があります。

ホウレンソウが形骸化している場合は、ということですね。形骸化してしまっているならやめたほうがいいでしょう。

せっかく時間を掛けて作った日報も、形骸化してしまってマネージャーがうまく使いこなせていないようなら不要です。

私はホウレンソウと言うより、行動ログを残しておく方が役に立つと考えています。

営業の現場など特にそうですが、行動ログを残しておかなければ後で思い出すのは難しいので。ただし、簡単な仕組みが一つあれば十分でしょう。

全国に支社がある場合などもそうですが、情報共有の為の仕組みは必要不可欠ではないでしょうか?

 

未来工業の山田相談役の仰ってる事は、伊那食品工業のやっていることと同じです。

そこで働く人たちがより働きがいがある会社であるためにはどうするのかを語られています。

じゃあ何のために金儲けするのかといえば、一つは縁があって来てくれた社員たちに高い給料を払って、

豊かな生活をしてもらいたいということ。人生の中で会社にいる時間が一番長いんだから、会社で働く時間が楽しいよ、

嬉しいよという人生を送ってもらいたい。二つ目は、税金を払って社会貢献すること。

どうすれば金が儲かるかというと、たった一言でいえば、儲からない会社の反対のことをすればいい。単純明快でしょ。

 

儲からない会社の反対の事をやるというのは、『差別化』という言葉を使われています。

確かに他社と同じことをやっていては、価格競争での首の締めあいなどで儲からない事になりますから、差別化は必要です。

ここでフォーカスしたいのは、

どんな差別化をしてきたのか。それがさっき言った「ホウレンソウ」の話。今日本には役人が600万人いる。

38万人の社員を持つ大企業がある。これを束ねるには「ホウレンソウ」が必要だというわけ。

でも、うちの会社は社員の数が少ないのに、なんでその真似をしなきゃいけないのでしょうか。これは絶対間違えてます。

うちの会社は「ホウレンソウ」禁止。下は上に物を言ったらいけないし、課長、部長は部下への命令は一切禁止

言いたかったら説得をして納得させろということです。説得できない上司や幹部は全部クビ。

といっても日本ではレイオフできないので、課長から平社員に降格します。だから必ず上は下に説得をしろということ。

下は上に物を言ったらいけない。上は部下への命令は一切禁止、というルールです。

これは現在の取締役社長の山田雅裕氏も『「常に考える」からこそ日本一社員が幸せな会社が誕生した』の中でも仰っています。

相談役の息子さんのようですが、子会社の社長をやっていた5年間で一度も命令をしたことがないそうです。

 

これ非常に重要な点だと思いますが、皆さんどう感じられるでしょうか。

部下には命令するのではなく、とにかく説得して納得させる。これがマネージャーの仕事になっています。

社是が『常に考える』だそうで、常に考えさせるためには説得して納得させることになるのです。

この考え方は、ピーター・ドラッカーの言っている、

「マネジメントとは、人にかかわるものである。その機能は人が恊働して成果を上げることを可能とし、

強みを発揮させ、弱みを無意味なものにすることである。」

と同じではないでしょうか。 ドラッカーはマネジメントの本質を、人の強みを発揮させ弱みを消してしまうことと言っています。

そのためには、マネージャーは指示を出すことが仕事ではなく、まずは話し合うことが重要です。

マネージャーはとかく部下の弱い部分にばかり目が行ってしまいます。

部下の強みを見出して発揮させてやるためには、部下を知ることが重要です。

その上で組織全体でその弱みを消していくことが重要だということです。

1+1=3にも4にもなるのは、組織として各組織構成員の弱みを消して強みを乗算させることで3にも4にもなるわけです。

 

マネージャーの仕事に関しても現場では色々な誤解があります。 ドラッカーは

「マネジメントには基本的な仕事が五つある。第一に、ビジョンと目標を設定する。

第二に、組織する。第三に、チームをつくる。そのために動機づけ、コミュニケーションをはかる。

第四に、(成果を検証し)評価する。第五に、自らを含めて人材を育成する。 (「マネジメント」より)」

と明確に定義付けしています。 未来工業さんの場合は、単に『上司は部下に命令しない』と一言でルール決めしてありますが、

その一言の裏には、もっと深いものがあると思います。

 

よく営業の現場で『軍隊式』という表現が使われます。 この表現の仕方は、はっきり言って完全に間違って使われる場合が多いのですが、

表面的な部分だけをとらえて、単に大声を出して命令することが軍隊式と間違って伝わっています。

R社のやり方の表面的な部分だけを捉えて、未だに訳の分からないやり方をしている○○○などその典型ですが、

軍隊式でも、命令の前になぜその命令があるのかをきちんと認識させる段階が必ずあります。

 

今回の未来工業の相談役・社長へのインタビューで語られている事は、

営業ノルマ禁止。残業禁止。上司への「ホウレンソウ(報告、連絡、相談)」禁止。

上司が部下に命令すれば、その上司は降格。社員の平均年収600万、65歳の平社員の平均年収700万、しかも定年は70歳。

社員旅行でクイズ50問に正解したら半年間の有給休暇など。

非常に興味深い内容ばかりですが、普通の企業でもマネジメントにおける現場で、命令しないというルールを徹底することは、

それほど難しくないのでは、と思います。(そのかわり、マネージャーは対話が主体となります。)

いきなりすべてをマネすることは無理でも、これならうちでもできると思えるところから少しづつ変えて行けばよいのではないでしょうか。

 

最後に山田社長の言葉とドラッカーの有名な言葉をを載せておきます。

たとえば、当社では管理職が部下に命令することができません。

命令する人間イコール能力のない人間とみなされてしまいます。

だって命令というのはとても簡単じゃないですか。

相手に「やれ」と言いさえすれば済むわけですから、何も考える必要がない。

しかし、当社の第一の指標は「常に考える」です。

管理職はどうやったら部下にやる気を起こさせることができるかを考え、部下にも同じように考えさせるのが基本。

だから「命令しない」という当社では極めて当たり前のことが、世間的にはいい会社という評価につながるのかもしれませんね。

 

「利益は、個々の企業にとっても社会にとっても必要である。

しかしそれは、企業や企業活動にとって、目的ではなく条件である。

企業活動や企業の意思決定にとって、原因や理由や根拠ではなく、その妥当性の判断の基準となるものである。」

(「経営の神髄」より)

 

「利益の最大化のみを目的化する企業は、短期的視点からのみマネジメントされるようになる。

その結果、企業がもつ富の増殖機能は破壊されないまでも、大きく傷つく。結局は業績が悪化していく。しかもかなり速く悪化していく。」

(「ポスト資本主義社会」より)