映画『アポロ13号』に見る、経営者に必要な7つのレベルの思考力

今朝は、21世紀に活躍する「スーパージェネラリスト」とは、いかなる人材か?というタイトルで日経ビジネスオンラインで多摩大学大学院の田坂教授が語られているお話しを考えてみたいと思います。

(元の記事はこちらです。)


私も見ましたが、トム・ハンクス主演の『アポロ13』をご覧になってからこのコラムを読まれると分かりやすいと思います。

このお話の中で、田坂教授は経営者に必要なのは『7つのレベルの思考力』であるとおっしゃっています。

「思想」「ビジョン」「志」「戦略」「戦術」「技術」「人間力」

この7つのレベルの思考力に関して、映画の中でのジーン・クランツ(エド・ハリス)の言動を引き合いに出して説明されています。

この映画の大まかなあらすじは、1970年4月、月へ向けて打ち上げられたアポロ13号に爆発事故が発生します。

その絶望的な状況の中、ヒューストン管制センターでは3人の乗組員を無事地球に帰すため、必死の救出作戦が展開されていました。

ジーン・クランツはNASAの主席飛行管制官ですが、危機にあたってのリーダーとしての言動に田坂教授はフォーカスされています。

 

第1に、彼は、このアポロ13号の事故が起こった直後、重苦しい悲観的雰囲気が支配する専門家達に対して、

「我々のミッションは、この3人の乗組員を、生きて還すことだ!」と、明確な「ビジョン」を示しました。

第2に、彼らを生きて還す基本的な「戦略」として、事故の起こった場所から急遽、宇宙船を引き返させる「直接中止」という方法と、

月を一周して地球に戻ってくる「月周回中止」という方法を検討し、機械船のエンジンの損傷が懸念されるという問題から、後者の方法を選びました。

第3に、アポロ13号の電力消費を最小限に抑えるための具体的な「戦術」として、地上のアポロ宇宙船シミュレータを使って、

徹底的なシミュレーションを行わせ、電力消費を最小化する手順を見出させました。

そして第4に、司令船と月着陸船の二酸化炭素除去フィルターの形状が違うという問題に直面すると、専門家達を集め、

アポロ13号の中にある、ありとあらゆる部品を組み合わせて応急装置を組み立てさせました。

こうした個別の「技術」について解決策を指示できたのも、彼が飛行管制官として相応の技術的知識を持っていたからです。

第5に、彼は、絶望的とも思える困難な問題が次々に突き付けられる管制センターの現場において、

悲観的な雰囲気に陥りがちな専門家達を励まし続け、希望を持って仕事に取り組ませるという、優れた「人間力」を持っていました。

第6に、アポロ13号の大気圏再突入を前にして、「これは、NASAが迎える、最大の危機だ……」と語る専門家達に対して、

彼は、「いや、我々が迎えようとしているのは、NASAの歴史で、最も栄光ある瞬間だ!」と信念を持って語る、その素晴らしい「志」を持っていました

そして、第7は、言うまでもなく、この「志」の背後にある、「宇宙開発は人類の未来を切り拓く」との確固たる「思想」を、彼は持っていました。

 

今回取り上げた経営者に必要な7つのレベルの思考力に関しては、現在企業を経営されている経営者の方たちやマネージャーの方は、

多かれ少なかれこういった思考力をお持ちのはずです。

田坂教授はコラムの中で、

いえ、この「7つのレベルの思考」を身につけるのは、実は、それほど、難しくないのです。

ただ一つのことを行うだけで、この「7つのレベルの思考」は、身につき始めます。

と言っています。そのひとつの事とは、

「自己限定」を捨てることです。

すなわち、我々は、無意識に、自分の思考を、自分が得意だと思っている「思考のレベル」に限定してしまう傾向があるのです。

例えば、次のような思考です。

「自分は、技術屋なので、ビジョンとか、戦略とかは、良く分からないです」

「僕は、会社の戦略企画部の所属なので、現場の具体的な問題は詳しくありません」

「私の仕事は、政策の提言ですので、行政の末端の細かい事情は知りません」

「仕事は人間がすべてです。会社の方針は良く分かりませんが、人間関係がすべてだと思います」

我々は、こうした「自己限定」の言葉を語りたがる傾向があるのです。

我々は、無意識に、自分の思考を、自分が得意だと思っている「思考のレベル」に限定してしまう傾向があるのです。

そして、その「自己限定」のために、自分の中に眠る「可能性」を開花させることができないで終わってしまうのです。

 

コラムの中で田坂教授自身が、自己限定を捨てた時から変わり始めたと仰っています。

自分自身を自分で作った『枠』にはめてしまうことで、そこから出ることが出来なくなってしまうことは良くあることです。

自己限定をはずすのに重要なのはセルフイメージです。

自分自身が何者なのか、例えば企業で言えば、自社が社会においてどういった理由で存在するのかをイメージすることから始まります。

 

自己限定を外すために必要なのは、自分自身が何者なのか、将来どうありたいのかを言語化してみることが重要です。

ノートに何度も書いていくことで、今の自分と将来の自分を見比べて見ることが出来るようになります。

 

経営者がビジョンを見る(創る)ための方法を簡単に説明しておきます。

1.リラックスした状態でいつも自分が座っている椅子にゆったりと座って、ヒーリングミュージックでも聞いてください。

2.目をつむって、1分間何も考えないようにします。

3.3年後自分が同じ椅子に座っているかをイメージしてください。(今と同じオフィスなのか?)

4.その後は、自分の周りにいるスタッフが今と同じ顔ぶれなのかをイメージしてください。自社が今と同じ商品を扱っているのか?

 社員は増えているのか?売上は伸びているのか?お客様は今と変わっているか?

こうやって、経営者としてさまざまな将来(ビジョン)を見て行きます。

そしてノートに書き写して、それを何度も繰り返します。

何度か繰り返すうちに、ご自分(自社)のビジョンがそれとなく見えてくるようになります。

 

企業経営には、まずビジョンが必要です。何をイメージして進んでいくのかが分からなければ、組織力は最大にはなりません。

その上で、そのビジョンを達成するためには何が必要なのかを考えて行くことが重要です。

私はビジネスデザイナーとして、こういった経営者のビジョンを明確にするお手伝いや、そのビジョン達成のためのお手伝いをしていますが、

現在の企業においてここの部分がアバウトになっている企業は多く見受けられます。

まず、ビジョンを明確にすることから始めてみてはいかがでしょうか?

次回は、田坂教授の経験を通したコラムから考えてみたいと思います。