いかにして、スーパージェネラリストの「7つの知性」を磨くか?

今回は、前回の続きで『いかにして、スーパージェネラリストの「7つの知性」を磨くか?』というコラムに関して考えてみたいと思います。

原文はこちらです。

このコラムは要約すると田坂教授の経験から、どうやって7つの知性を磨くいたかにフォーカスされています。

田坂教授自身も、思想家、社会起業家、戦略参謀、企画プロフェッショナル、田坂塾塾長など、様々なレベルで活動されている、

「スーパージェネラリスト」ですが、いきなりこうなられたわけではありません。

田坂教授は大学院で博士号を得た後、民間企業で法人営業の仕事に9年間携わったそうです。

そして、1990年に、縁があって、あるシンクタンクの設立に参画したとのことです。

ただ、この新たに設立したシンクタンクで田坂教授たちが掲げたのは、「ドゥータンク」というビジョンでした。

すなわち、「シンクタンク」(Think Tank)ならぬ、「ドゥータンク」(Do Tank)です。


ここで田坂教授たちが目指したのは、調査、分析、予測、評価、提言という「デスクワーク」だけで仕事をする「シンクタンク」ではなく、

技術調査、市場分析、事業予測などに基づき、実際に技術開発や商品開発、市場開発や事業開発を行う「ドゥータンク」でした。


そして、その基本的な戦略としては、「異業種コンソーシアム」を結成することによって、様々な企業の経営資源を結集し、

「パッケージ商品」や「トータルサービス」などの技術開発や商品開発を行い、各社の「マーケティング力」や「営業力」を活用して、

市場開発や事業開発を行うという戦略を掲げたそうです。

ここで垂直統合と言う言葉が出てきます。

例えば、我々は、このシンクタンクの活動において、環境汚染の問題を解決する3つのコンソーシアムを結成しましたが、

これらのコンソーシアムを創り、新事業開発に取り組むためには、「思想」「ビジョン」「志」「戦略」「戦術」「技術」「人間力」という

「7つのレベルの思考」を同時並行的に行い、仕事を前に進めていくことが求められたのです。それが「垂直統合」ということの意味です。


第1の「思想」のレベルの思考

日本においては、海洋や河川、湖沼の汚染問題、大気の汚染問題はかなり解決してきましたが、土壌の汚染問題は、当時、

まだ「暗黒大陸」と呼ぶべき状況にありました。しかし、まもなく、この土壌汚染の問題が社会的に注目され、

この問題を解決する「環境浄化産業」が求められるようになっていくだろう。

我々は、まず、環境問題に関する「思想」のレベルでは、そう考えたわけです。


第2の「ビジョン」のレベルの思考

我々は、この「環境浄化産業」を創出するためには、これまで有効な解決策が無かった土壌汚染について、

新たな土壌浄化技術を開発・導入することが不可欠だと考えました。そして、もし、この技術が開発・導入されれば、

汚染土壌浄化に関する新たな市場が生まれてくると予想し、この市場規模としては、

当初だけで、数千億円の規模の市場が生まれると予想したわけです。これが「ビジョン」のレベルの思考です。


第3の「志」のレベルの思考

もし、これから社会がその方向に向かうのであるならば、我々は、「ドゥータンク」として、

この汚染土壌の浄化技術の開発と導入を積極的に進め、土壌汚染という社会的問題の解決に貢献し、

同時に、「環境浄化産業」という新たな産業を、民間主導で創出することを目指そう。我々は、そうした「志」を抱いたのです。


第4は、「戦略」のレベルの思考

この汚染土壌浄化技術の開発と導入を進めるためには、ゼネコン、エンジニアリング会社、

商事会社などが参加する「異業種コンソーシアム」を結成し、これら異業種企業の経営資源を組み合わせることによって、

技術開発や市場開発、事業開発を進めていく。また、このコンソーシアムには、主要官庁にもオブザーバーとして参加してもらう。

我々は、そうした「戦略」を立てたのです。


第5の「戦術」のレベル

「戦術」のレベルの思考とは、端的に言えば「固有名詞」で考えることです。

すなわち、この異業種コンソーシアムには、具体的社名として、ゼネコンはA社、B社、C社、D社、E社の5社に入ってもらう、

エンジニアリング会社はF社に参加してもらう、商事会社はG社をメンバーとする。主要官庁としては、

通産省と環境庁(いずれも当時)にオブザーバーになってもらう、ということを考えました。

「戦術」のレベルの思考で重要なことは、具体的な個社名、ときに具体的な責任者名で考えることです。

そうしなければ、具体的なアクション計画が立てられないからです。

例えば、「ゼネコンはA社、B社、C社、D社、E社の5社に入ってもらう」と決めたとき、個社名が明確であれば、

「どの順番に働きかけるか」というアクション計画も見えてきます。例えば「A社が入れば、

提携関係にあるD社も入るだろう」「C社が入ると、競合関係にあるE社も、対抗上、入ってくる可能性が高い」といった判断ができるからです。


第6の「技術」のレベル

これらの異業種企業にコンソーシアムに参加してもらうためには、各社を説得しなければなりません。

そのためには、まず、魅力的な企画書を作成しなければならず、企画書作成のノウハウが極めて重要になります。

また、各社の担当者と担当役員を説得するためには、営業交渉のスキルも重要になります。

その意味で、企画力や営業力という「技術」のレベルの力を磨くことが求められました。


第7の「人間力」のレベル

実は、「異業種コンソーシアム戦略による新事業開発」の活動において、最も深い学びとなったのが、この「人間力」のレベルの思考なのです。

 なぜなら、例えば、異業種コンソーシアムを結成するためには、ゼネコンのA社に入ってもらい、中心的な役割を果たしてもらう必要があるとします。

しかし、残念ながら、A社の担当役員のH氏には面識が無いという問題に直面する。そのため、うまくH氏にアポが取れても、

H氏とは、まさに初対面の会合を持つことになるわけです。

 そして、こうした場面で、H氏にA社のコンソーシアム参加を決断してもらえるか否かは、実は、魅力的な企画書だけでは無理なのです。

やはり、H氏から我々が人間的に信頼してもらえるか否かが、鍵になるのです。

もとより、まだ成長途上の人間集団でしたので、「人間力がある」などと、偉そうに言える時代ではなかったのですが、

「自分という人間が、相手から信頼してもらえる人間か」を直視する、厳しくも、良い機会になりました。

そして、未熟ながらも、仕事を通じて人間を磨く、有り難い機会となりました。


ビジネスとは、仮説-検証の世界です。 仮説を立て、実行して検証していくことが求められますが、その上で非常に参考になる考え方だと思います。

また、企業が存在していく上で、思想、志を重視されている点も、私自身非常に納得できる点です。

この後の発言で、僭越な表現になることを覚悟の上で、とプリフレームされた上でこう仰っています。

たしかに、経営者や起業家、マネジャーやリーダーならば、誰もが、多かれ少なかれ、意識的、無意識的を問わず、

この「7つのレベルの思考」を行っているのです。 しかし、残念ながら、その思考は、いずれも「中途半端」に終わっているのです。

「中途半端」という意味は、三つの意味があります。いや、「三つの問題」と言っても良い。

そこで、次回は、この「垂直統合の思考」において、経営者や起業家、マネジャーやリーダーが直面する、「三つの問題」について述べましょう。


次回に続く事になりますが、今回のコラムでは思考方法の順序が非常に分かりやすく説明されていたのではないでしょうか?

これは企業経営において非常に重要な点だと思います。

『思想』

『ビジョン』

『志』

『戦略』

『戦術』

『技術』

『人間力』

各レベルで試行していくこと、これは、営業活動においても同じことが言えるのではないでしょうか?

トップセールスの位置にある方たちは、この7つの思考力が非常に優れているから、その位置にいることが出来るのではないかと思います。

経営者がこの7つの思考力を深く垂直統合できるようになれば、理想の企業作り、組織作りが可能になるかもしれません。

もう一度、7つの視点から考えてみるのもいいのではないでしょうか?

次回は『何故、経営者がスーパージェネリストになれないのか?』というコラムに関して考えてみたいと思います。